コラム豆知識
敷金と保証金は、いずれも賃貸契約時に支払う金銭ですが、意味や用途、地域によって異なる点があります。今回はその違いについて解説します。
■敷金
敷金は、賃貸契約時に借主が貸主に一定の金額を預け、解約時に原則として借主へ返還されるお金です。家賃の未払い・滞納に対する担保や、解約後に発生する修繕費などに充当されるケースが一般的で、相場は家賃の1~3ヶ月分程度となっています。
■保証金
保証金も賃貸物件を借りる際に発生する初期費用の一つですが、主に関西地方で用いられる呼称です。基本的な意味合いは敷金と同じで、家賃の滞納などに備えて貸主に預けるお金となります。ただし、保証金は一般的に家賃の3~6ヶ月分と敷金よりも高額になる傾向があります。理由として、保証金の返還時には必ず差し引かれる「敷引き」という仕組みが設けられているためです。敷引きは、実質的に「礼金」と同様の扱いを受けるため、「礼金」の習慣がない関西地域ではこの方法が採用されるようです。
例えば、
保証金:家賃3ヶ月分(うち敷引き:家賃2ヶ月分)=敷金:家賃1ヶ月分+礼金:家賃2ヶ月分
という意味合いになります。
なお、敷引きの仕組みは減少傾向にあるものの、依然として採用している物件も存在します。退去時のトラブルを避けるためにも、契約前に金額設定の仕組みを十分に理解しておくことが重要です。
ただし、2020年に改正された民法では、これまでの実務に伴い、敷金を「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と明確に定義されています。民法上では敷金と保証金は同じものとされるため、これまで曖昧だった取扱いも、今後はより明確な基準に基づいて対処されていくでしょう。